なぜ経験を過信する治療家はキケンなのか?
今回のコラムは、私自身への自戒の意味も込めて書いています。
こんな言葉をきいたことがありますか?
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
これは、ドイツの宰相、オットー・フォン・ビスマルクの有名な格言です。
ある程度の成功を治めた人は、どうしても自分の成し遂げたものが凄いものだと思い込んでしまうものです。
ですが、一個人がどんなに頑張ったところで、一生の間に経験できることなんてたかが知れています。
ここでビスマルクの言う「歴史」とは、正確に言うと歴史ではなく、「他者の経験」という意味合いを持っています。
つまり、この格言は、
「自分の経験に過信することなく、
他者の経験を最大限に活かしなさい」
という解釈が正しい、ということです。
ご存知の方も多いかもしれませんが、10年ほど前に「マネーの虎」という人気番組がありました。
その番組では、ビジネスアイデアはあるけどお金がない一般人応募者が、年収1億円を超える成功者たち(企業経営者)にプレゼンを行い、投資をしてもらう…という番組でした。
ほとんどの応募者は、成功者達からボロクソにダメだしされて一蹴されてしまいます。投資家たちに「ビジネスはこうあるべきだ」という考えがあり、その考えに一致しないものは間違っている、と考えるからなんですね。
ところが10年経って今、フタを開けてみると、その成功者達のほとんどは倒産・破産しています。逆に、一蹴された応募者の中には、大きな成功をつかみとっている人もいるのです。
自分の経験からくる思い込みには、本当に怖いものがあります。
私は、カイロプラクティック治療院を90院、鍼灸整骨院100院の仕組み作りや院長指導など、直接的にさまざまな治療院の運営に携わってきました。また、3000院を超える治療院の指導をしてきました。
おそらくここまでの経験をされた人は滅多に存在しないと思うんですが、それでも私はこの経験は大したことではないと思っています。
私を今ここまでに導いてくれたのは、自分自身の経験ではなく、過去60年間に渡って数万人もの治療家が積み重ね、検証されてきた治療院の原理原則や、400業種・12000社に70億ドルの売上増加をもたらしたマーケティングの原理原則だったりします。
自分の経験でモノを考えてしまう人は、その思考自体が治療院繁栄の障害になってしまうものです。ときにはプライドを捨てて、他者から積極的に学ぶことにもトライしてみてはいかがでしょうか?