治療院のリピート率は治療前に決まる
安定的な治療院経営を実現する上で重要なテーマの一つが、「継続来院率(リピート率)の向上」です。
では、「継続来院率」を上げるために治療院に必要なことは、一体何なのでしょうか?
今回は、こちらにフォーカスを当ててお話ししていきたいと思います。
1.継続来院率を上げるのは技術ではない
多くの治療家は、「継続来院率を上げるための最大の要素は技術だ」と考えるかもしれません。特に、治療前と治療後の比較効果((ビフォーアフター)で変化を見せることが大切だと。)が大切だと。
そして、そのためにより高い技術を身に付けて、患者さんにその効果を実感してもらえるようになる必要がある…と思っているのではないでしょうか。
ただ、これまで数千店舗・数千人の治療家を見てきて、8万人以上100万回以上の患者データを分析してきた経験から、はっきりとお伝えできることがあります。
それは、技術力が継続来院率に影響を与えるのは、「初診のみで来なくなってしまう患者が、2回目・3回目まで来てくれるようになる」…といった、とても低いレベルの期間だけだということです。
驚かれる先生も多いのですが、実は技術レベルの高さと継続来院率は、あまり関係がないのです。
2.継続来院率を上げるために必要なこと
では、「継続来院率アップ」のために一番重要なことは何なのでしょうか?
それは、治療前の「問診・検査・カウンセリング」の段階で、患者さんに継続来院の必要性をあらかじめ理解していただくことです。継続来院率は治療後ではなく治療前に決まるのです。
類まれなる治療技術を持つゴッドハンドでなくても、飛び抜けたカリスマ性がなくても、これを押さえることができれば継続来院率は向上します。それこそ、治療院経営一年目の先生でも、です。
「そんなことは当たり前にやっている!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、やっていると思っているのに継続来院率が低いのであれば、それはしっかりと患者さんに計画的な通院の重要性を理解してもらえていないということに他なりません。
「伝えること」と「理解してもらうこと」は、レベルが全く違います。まったく別次元ののコミュニケーションスキルだと思っていただいてかまいません。
治療のテクニックよりも、まず理解し、納得してもらうためのテクニック。これが「継続来院率」を上げるために最も重要な技術なのです。
3.継続来院してもらうことの重要性を理解してもらうためには
さて、継続来院率向上のために重要なのは「患者さんに計画的な通院の重要性を理解してもらうこと」だと伝えましたが、実際どのように理解してもらえば良いのでしょうか。
まず大切なのが、患者さん対して「いつまで治療を続ければよいのか」を明言しておく、ということです。言い方を変えれば、治療計画をしっかりと立てる、ということです。
これをハッキリと伝えておかなければ、患者さんに継続来院の大切さを理解してもらうことはできません。痛みが取れたり少し楽になってきただけで、「もう大丈夫だろう」と独断で治療をやめてしまう可能性があるのです。
それを未然に防ぐために、しっかりと治療計画を立てて、なぜ継続来院の必要があるのか、患者さんにしっかりと理解してもらえるようにしましょう。
4.継続来院の目的は「根本的な原因」を完治させること
計画通りに治療をすすめたのに、再検査の結果、治療を継続する必要が出てきた…というケースもあります。
そういった場合でも、進捗状況を患者さんとも共有して、継続来院の必要性を説明することが大切です。
仮に患者さんが「痛みがなくなったから治療をやめたい」と言ったとしても、それを真に受けてはいけません。
確かに患者さんにとっては痛みが取れることは重要なことかもしれませんが、「痛みがなくなった=完治した」ではないのです。
先生が「痛みの根本原因は姿勢の歪みにある」と考えているのであれば、姿勢のゆがみを正しく治すことが治療となります。
例え痛みがなくなったとしても、姿勢が歪んだままでは根本治療したとは言えないのです。
あくまで患者さんの感覚である「痛み」ではなく、必ず筋・骨格・神経系の検査結果から判断し、患者さんに継続治療が必要な場合は治療を続けてもらうことで、根本的な原因を治療できるようにしましょう。
なお、あくまで根本原因を解決するのが治療の目的であり、売上のためだけに継続来院を促してはならないということを意識しておきましょう。
5.根本治療のために継続来院率を上げることにフォーカスする
「通院が途切れてしまった患者さんに対して、どのような対応をしていけば良いか?」というご質問を受けることがありますが、すでに来院が途切れてしまった患者さんに再来院していただくことは容易なことではありません。
ですので、それを未然に防ぐためにも、初診時から「継続来院率」を上げることにフォーカスすることが大切です。
継続来院率を上げたいのであれば「問診検査やカウンセリングをいかに充実させ、いかに患者さんに納得していただけるか」を突き詰めることが重要です。
問診検査カウンセリングが多少改善したところでは大きな来院率の変化は見込めませんので、
・2回目来院率が何%なのか
・30日以内の、8回継続来院率は何%なのか
といった数値もしっかりと計測し、いつまでにどの数字まで達成すべきなのか目標を定め、しっかり改善できるよう取り組むと良いでしょう。
6.キャンセルが起きる前に、対策を考えておくことも大切
よく「キャンセルされた後どうすべきか」といった質問を受けることもあるのですが、そもそもキャンセルが起きないための対策をすべきです。
まとめて予約を取ったり、回数券を購入していただいたり、予約日に来院できなくなったら事前に必ず電話をしていただくよう前もって言っておくなど、何パターンか対策を講じておくと良いでしょう。
一度でもキャンセルを認めてしまうと、患者さんは「キャンセルしても大丈夫な治療院だ」だと感じ、何度でもキャンセルしてしまうようになりかねません。
万が一予約日に来院できなくなってしまった場合は、予約自体をキャンセルするのではなく、来院日を変更してもらうと良いでしょう。
まとめ
今回は、継続来院率にフォーカスを当ててお伝えしました。
売上のために継続来院を勧めるのではなく、あくまで目的は根本原因の治療のための継続来院です。治療前から「根本的な原因を解消するため計画的に通院をしていただく」ことを患者さんに理解していただき、継続来院率を高めるように意識してみてください。