お釣りを「新札」にする必要はない
当協会の会員より、「お釣りには新札を使え」という治療院経営ノウハウに関して質問をいただきました。
確かに新札を手渡されると気持ちが良いかもしれませんし、気を使ってもらっている感じがするかもしれませんが、私はこのノウハウを絶対に勧めません。
厳しいことを言うかもしれませんが、高級ホテルならともかく、治療院でこのようノウハウを導入する人は、自分のことだけしか考えることができない人だとも言えます。
1日に何枚の新札が必要なのか
料金によって千円札のお釣りが何枚必要か変わりますが、自費型の治療院で1日に30人くらいの患者さんが来ると仮定すると、単価4000円の料金設定だと約20枚、単価6000円の料金設定だと約100枚の千円札が必要です。
実際には、患者さんからいただいた千円札をお釣りに使えるので、そこまで用意する必要はありません。むしろ4000円の料金設定であれば、院内の千円札はどんどん増えていくはずです。
ところが、お釣りを新札にするとなれば、話は全く変わってきます。この千円札を新札で毎日用意しておかなければならないからです。
忙しい院なら約200枚の千円札が必要になります。患者さんから料金としていただいた千円札はお釣りとしては使えないので、毎日200枚の新札を調達する必要があるのです。
こんな非効率的な事を平気で教えているコンサルタントが世の中には沢山います。美容院業界、飲食業界だけでなく、この治療院業界にもいるそうです。
国内には、約10万院の治療院が存在します。これらが平均で毎日50枚新札に両替をしたら、1日に500万枚必要になる計算です。加えて、美容院や飲食店、コンビニといった業界もお釣りに新札を使い出したら、数百億~数千億枚規模で新札の千円札が必要になります。
実際には銀行が両替を拒否するので、そこまで大量の新札は出回りませんが、これを少しでもイメージできる感覚があれば新札でのお釣りなんて非常識極まりない手法だと思いませんか?
ノウハウを学ぶ上で大切なことは「再現性」です。ごく一部の人にしか実践できないような手法は、ノウハウとしては未熟だと言わざるを得ませんし、先ほどもお伝えしたようにそもそも経営上非効率的です。
このようなことに頭を使うよりも、クレジットカード決済の導入や、クレンリネスの徹底にかけるべきです。
もちろん、クシャクシャのお札、破れているお札、汚れが目立つお札は患者様に大変失礼なので、お釣りには使わないようにしましょう。
ただし、「新札」は必要ありません。結婚や入学などのお祝いのときだけにとどめておきましょう。