「治ったら何がしたいですか?」という質問が危険な理由
問診の中で「治ったら何がしたいですか?」という質問を入れている先生がたくさんいらっしゃいます。
ひょっとすると「フューチャーペーシング」というテクニックを活用しようとする意図で、この質問をしているのかもしれません。
「フューチャーペーシング」とは、得たい未来・将来を相手に明確にイメージさせて努力させることを促がしたり、前向きな決断をしてもらうために効果的なコーチングやマーケティングの手法のことです。
コンサルタントの請け売りでこれを取り入れている治療院も少なくないようですが、ここに一つ大きな勘違いがあります。
治療院の問診の中でこの質問を使うのは危険です。
「治る」とはどういうことなのか?
一口に「治る」と言っても、この言葉が何を意味することなのかは、問診の段階では先生と患者さんとの間の認識に差があるはずです。
例えば患者さんにとって「治る」ということは「痛みがなくなること」で、先生にとっては「骨盤の歪みが無くなること」だとすると、治療に向けた患者さんと先生の意識が、問診の中で知らず識らずのうちにズレていくことになります。
また、スポーツ選手など明らかな目的意識をもって来院している方であればまだしも、普通の主婦や会社員にとっては痛みが取れることが第一の目的で、治療が完了した未来のことなど考えていない方が多数のはず。
そもそも、「治ったら何がしたいですか?」という質問自体が的外れであり、「フューチャーペーシング」の効果は全く期待できないのです。
このように、他業界では効果のある手法が、治療院業界においては逆効果になってしまうケースもあるということを覚えておいていただければと思います。
(上級編として、この質問をカウンセリングで使う方法もありますが、それについてははまた別の機会に解説します。)