本質的な治療院経営ノウハウを身につけたい先生のための、

治療院が絶対にやってはいけない“返金保証”の話

顧客のリスクを売り手が引き受ける
“リスクリバーサル”

「リスクリバーサル」というマーケティング手法をご存知でしょうか。

ご存知でない方のためにご説明すると、このマーケティング手法は、世界的に活躍しているアメリカのマーケティングコンサルタント、ジェイ・エイブラハムが提唱しているコンセプトの一つです。

通常、顧客が商品やサービスを購入するとなると、購入して実際に利用してみるまで、その商品が価格に見合うものなのかどうかが不明なことがほとんどです。

つまり、本当に自分の手にしたい未来が手に入るかもわからないのに、先にお金を手放さなければならないという“リスク”や、あまり深く知らない人にサービスをお願いするという“リスク”を顧客側が抱えてしまうことになります。

このリスクを除外し、顧客に安心して購入してもらうために、顧客側のリスクを売り手側が引き受けてしまうこと…つまり「リスク」を「リバース(逆に)」するというコンセプトで名付けられたのが、このリスクリバーサルです。

日本ではよくこの「リスクリバーサル」と「返金保証」が同じ意味合いで使われがちなフシがあるんですが、これは大きな間違いです。

私のところにも「返金保証」を治療院の集客手法として使おうか考えている…という相談が時々あります。

ですが私の考えでは、治療院は返金保証を絶対にやるべきではありません。

なぜならば、治療院における「返金保証」は、「リスクリバーサル」のコンセプトとは程遠い意味合いを持っているからです。
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返金保証が信頼を無くすケース

例えを挙げてみましょう。

あなたが彼女にプロポーズをするために、夜景の見える素敵な個室レストランで、2人な特別な想い出のある料理を予約したとします。

ところが、当日行ってみると、個室は満室で夜景も見えない座敷席に案内されました。周りでは泥酔した団体客が騒いでいて、落ち着いて話しもできません。

さらに、予約した特別料理も材料の入荷が無かったという理由で別の料理になっていたとしたら、どうでしょう。

「返金します!」と、すべての代金を無料にしてもらって納得できるでしょうか?

私なら、永遠にこのレストランを利用することはないと思います。

もう一つ、具体的な事例を挙げましょう。

あなたが何らかの病気にかかり、どうしても手術が必要になったとします。

医師からはもちろん手術同意書への署名を求められますが、その際に「もしも手術が失敗したら手術費用を全額返金します」と言われて、安心できますか?

すぐに別の病院を探しますよね?

目的が治療ではない、リラクゼーションサロンならば、「返金保証」を取り入れてもいいと思います。

ですが、患者様の“健康”を診る治療院は、絶対に返金保証などという無責任な手法を取るべきではありません。

この機会にぜひ、顧客にとってのリスクとは一体何になるのかを、改めて考えてみてください。

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