治療家が出逢う“4つのタイプ”のコンサルタント
私は“治療院コンサルタント”として長年仕事を続けていますが、きっとあなたも、何度か私のような「コンサルタント」という肩書を持つ方を今までに何度か目にしたことがあると思います。中には、実際にコンサルティングを依頼した経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、「コンサルタント」という同じ肩書を打ち出している人はたくさんいますが、その属性を細かく見てみると、人によって中身がまったく違うことに気づくかもしれません。これをよく理解できているかどうかで、自分の治療院に最適なアドバイスができるコンサルタントが、どんなタイプの人なのかが理解できるようになります。
万能なコンサルタントなど存在しない
当然といえば当然かもしれませんが、万能なコンサルタントなんてこの世にほとんど存在しません。それぞれ得意分野・不得意分野があるものです。
しかし人間の心理効果として、ある特定の部分で秀でたものがあると他の部分も全て優秀に見えてしまうことがあります。
マーケティング効果で「ハロー効果」と呼ばれる心理作用なのですが、これによって、ある一部において秀でているコンサルタントのアドバイスを手放しにすべて受け入れてしまい、経営が傾いてしまうケースもあり得ます。
これは例えば、患者さんが肩関節に対する素晴らしい治療技術を持っている先生に、腰痛の治療やヒザの痛みの治療についてアドバイスを求めてしまうようなものです。
肩関節が得意な先生なのに、それ以外の分野で頼るのは賢い選択ではありませんし、逆に症状が悪化してしまう可能性が高くなるのも当然ですよね。
コンサルタントについても同様で、自分の治療院の課題のすべてをコンサルタントに頼りっぱなしにしてしまうと、思うような効果が出ず、高いコンサルティングフィーを無駄にしてしまうことになりかねません。
一方で、コンサルタントのタイプを知り、その得意分野や苦手分野を理解できれば、うまく自分の治療院の経営を改善することも可能なのです。
コンサルタント4つのタイプ
コンサルタントは、主に4つのタイプに分類されます。
1.コンサルティング会社の社員
2.治療院運営経験者(30店舗未満)
3.治療院運営経験者(30店舗以上)
4.異業種コンサルティング経験者
この4つです。
1.コンサルティング会社の社員
コンサルティング会社に属している社員は、その人自身がノウハウを持っている訳ではなく、マニュアルに沿って業務を行っているだけのケースも少なくありません。
ですが、このタイプのコンサルタントの強みは、担当者が大手コンサルティング会社の上位役職者の場合、業界全体の情報を手に入れやすいということです。
2.治療院運営経験者(30店舗未満)
実際に治療院を運営した経験があるコンサルタントは、その方自身が優れたカリスマであることが多いです。とても素晴らしい経験を持っていますので、現場目線でのアドバイスが可能です。
ただし、運営経験が10店舗未満の場合は、本人の個人能力の高さや地域性・人脈・その他特殊要件がコンサルタントの成功の要因である可能性もあります。そうなるとコンサルタントのノウハウは再現性が低いため、実践しても成果がでる可能性が低いことを覚えておかなければなりません。
3.治療院運営経験者(30店舗以上)
運営経験が30店舗以上のコンサルタントはとても多くの経験をしており、様々なケースに対応が可能です。治療院経営の仕組みというものをよく理解しており、教育・研修を大事にしながらも、個人能力に依存しない治療院運営を組み立てることができます。
ただし、気を付けなければならないのは、コンサルタントが「自分は全てを知っている」と勘違いをしてしまいがちだということです。直感ではなく、数値・統計データをもとに正確な判断ができるコンサルタントこそが本物だと考えてください。世界はとても広く治療院ビジネスの歴史は長いです。多くを経験したコンサルタントでも、学ぶべきことは無限にあるのです。
4.異業種コンサルティング経験者
異業種で活躍してきたコンサルタントは、特定の分野において素晴らしい知識や経験を持っています。例えば、ホームページの活用法について役務提供してきたコンサルタントは、制作ノウハウやPPC広告、SEO対策など治療院業界の方には無いノウハウを持っていることでしょう。
ただし一方で、治療院業界特有の事情や関係法令については無頓着のケースが多く、どんな相談事も自分の得意分野が解決策であるとして誘導することもあります。このような場合は注意が必要です。
もしも今、自分の治療院に何らかの課題を抱えていてコンサルタントの起用を検討しているのであれば、必ずこれらのコンサルタントのタイプを頭に叩き込んでおいたほうが良いでしょう。
そしてその場合、コンサルタントに求める経歴や経験は何でしょうか?専門分野・得意分野は何か…、ぜひ考えてみてください。